お気に入りのニットを着ていると、袖や脇、バッグが当たる部分に毛玉ができることがあります。
毛玉が目立つと、
「手で引っ張って取ってもいい?」
「毛玉取り器を使うと生地が薄くならない?」
「ハサミとブラシでは、どれを使えばいい?」
「毛玉ができにくい着方はある?」
と迷うこともあります。
毛玉は一度ですべて取り切ろうとせず、ニットの素材や生地の状態を確認しながら、少しずつ整えることが大切です。
今回は、
- 毛玉ができる原因
- 毛玉を手で引っ張らないほうがよい理由
- 毛玉取り器の基本的な使い方
- ハサミやブラシを使うときの注意点
- 素材ごとの確認ポイント
- 毛玉を増やしにくくする着方と保管方法
を紹介します。
ニットに毛玉ができる原因
毛玉は、着用や洗濯によって生地の表面がこすれ、毛羽立った繊維同士が絡み合うことで発生します。
特に毛玉ができやすいのは、次のような場所です。
- 腕が触れる袖の内側
- 身頃と腕がこすれる脇
- バッグが当たる肩や腰
- アウターと接触する背中
- デスクやテーブルに触れる袖口
- シートベルトが当たる胸元
- パンツのウエストと触れる裾まわり
ニット全体に同じように毛玉ができるとは限りません。
よく動く部分や、ほかの衣類・バッグと接触する部分に集中することがあります。
毛玉は、汚れだけでなく摩擦によって起こります。
毛玉を完全に防ぐことは難しくても、同じ部分への摩擦を減らすことで、生地への負担を抑えやすくなります。


毛玉を手で引っ張って取らない
少数の毛玉であれば、指でつまんで引っ張りたくなることがあります。
しかし、毛玉は生地の表面に残っている繊維とつながっている場合があります。
強く引っ張ると、
- 周囲の繊維まで引き出す
- 毛羽立ちが広がる
- 編み目が乱れる
- 生地が薄くなる
- 糸が飛び出す
といった原因になることがあります。
毛玉を見つけても、爪でむしったり、手で強く引っ張ったりしないようにしましょう。
また、粘着力の強いテープで毛玉を剥がす方法も、生地表面の繊維まで引っ張る可能性があります。
使用する道具が、そのニットに対応していることを確認したうえで整えます。
毛玉は「引き抜く」のではなく、表面に出ている部分を少しずつ整えます。
毛玉を取る前に確認したい5つのこと
毛玉取り器やハサミを使う前に、次の項目を確認します。
| 確認すること | 確認する理由 |
|---|---|
| 洗濯表示・素材表示 | 素材や商品の注意事項を把握するため |
| 生地の厚さ | 薄手の生地に強く道具を当てないため |
| 編み目の粗さ | 道具の刃やブラシが引っ掛かるのを防ぐため |
| 糸の飛び出し | 毛玉と一緒に切らないようにするため |
| 生地の傷み | 薄くなった部分へ繰り返し道具を当てないため |
装飾、刺繍、ボタン、ファスナーの近くも注意が必要です。
糸が大きく飛び出している場合や、生地が薄くなっている場合は、毛玉だけを取ろうとせず、クリーニング店や衣類修理の専門店へ相談する方法もあります。
毛玉取り前の基本手順
- ニットを明るい場所で確認する
- ポケットの中を空にする
- ボタンやファスナーを確認する
- 平らで安定した場所に置く
- 目立たない部分で道具を試す
- 生地を強く引っ張らずに整える
この記事では、衣類を脱いで平らな場所に置き、生地の状態を確認しながら作業する方法を紹介します。
着たまま使用できるかどうかは、毛玉取り器の機種によって異なります。対応機種でも、専用のアタッチメントや指定モードなどの条件があるため、使用する製品の取扱説明書を確認してください。
例えば、マクセルイズミ「KC-NR525」の公式案内では、着衣状態で使う際に、ふわふわリングの装着とCareモードの使用を指定しています。この条件を別の機種にも当てはめず、手元の製品の説明に従いましょう。

毛玉を取る道具はどう選ぶ?
代表的な道具には、毛玉取り器、小さなハサミ、衣類用ブラシなどがあります。
それぞれに向いている状態と注意点があります。
| 道具 | 向いている状態 | 注意したいこと |
|---|---|---|
| 毛玉取り器 | 広い範囲に細かな毛玉がある | 強く押し付けず、同じ場所へ繰り返し当てない |
| 小さなハサミ | 数個の大きな毛玉が目立つ | 生地や編み糸を一緒に切らない |
| 衣類用ブラシ | 表面のほこりや軽い毛羽立ち | 毛玉を完全に除去する道具とは限らない |
| 専門店 | 高価なニットや繊細な編み地 | 無理に自宅で処理せず相談する |
どの道具でも、生地を傷める可能性はあります。
「この道具なら必ず安全」と考えず、商品の取扱説明書とニットの状態を確認してください。

毛玉取り器を使う基本的な手順
広い範囲に細かな毛玉がある場合は、衣類用の毛玉取り器を使う方法があります。
ただし、押し付ける力が強かったり、同じ部分へ何度も当てたりすると、生地表面の繊維を必要以上に削る可能性があります。
使用前に、毛玉取り器の取扱説明書を確認してください。
STEP1|ニットを平らに置く
テーブルなどの安定した場所へニットを置きます。
袖や身頃に大きなしわがある場合は、手で軽く整えます。
生地を左右へ強く引っ張り、ぴんと張りすぎないようにしましょう。
STEP2|目立たない場所で試す
最初から胸元などの目立つ場所へ使用せず、裾の内側などで試します。
毛羽立ちが増えていないか、編み目が乱れていないかを確認します。
STEP3|軽い力で少しずつ動かす
毛玉取り器を生地へ強く押し付けず、表面を軽くなでるように動かします。
一度で完全にきれいにしようとせず、短時間ずつ状態を確認します。
STEP4|同じ場所へ繰り返し当てない
毛玉が残っていても、同じ場所へ何度も往復すると、生地が薄くなる可能性があります。
一度止めて、光の当たり方を変えながら状態を確認しましょう。
STEP5|刃やダストボックスを確認する
毛玉や繊維がたまった状態では、毛玉取り器が動きにくくなることがあります。
電源を切り、商品の説明に従って刃やダストボックスを確認します。
お手入れや刃の交換方法も、使用する製品の説明に従ってください。
毛玉取り器は、力よりも回数を抑えることを意識します。
強く押すのではなく、軽く動かして、その都度ニットの状態を確認しましょう。

ハサミで毛玉を取るときの注意点
毛玉が数個だけ目立つ場合は、小さなハサミで表面に出ている毛玉を切る方法があります。
ただし、ハサミは生地や編み糸まで切ってしまう可能性があるため、慎重な作業が必要です。
ハサミを使う前の確認
- 明るい場所で作業する
- ニットを平らに置く
- 刃先が大きすぎないものを使う
- 毛玉と編み糸を見分ける
- 生地へ刃を押し付けない
- 糸の飛び出しは自己判断で切らない
毛玉を指で強く引っ張り上げると、周囲の繊維まで伸ばすことがあります。
表面から明らかに浮いている部分だけを確認し、生地から距離を取って少しずつ整えます。
薄手のニット、ざっくりした編み地、装飾のあるニット、高価な衣類は、無理にハサミを使わないほうが安心です。
毛玉に見えても、編み糸が飛び出している可能性があります。
見分けにくい場合は切らず、専門店へ相談しましょう。

衣類用ブラシは毛玉を取る道具?
衣類用ブラシは、ニット表面のほこりを落としたり、毛並みを整えたりするために使われます。
軽い毛羽立ちを整えられる場合もありますが、大きく固まった毛玉を完全に取り除く道具とは限りません。
ブラシを使う場合も、
- ニットに対応しているか
- 毛の硬さが合っているか
- どの方向へ動かすか
- どの程度の力で使うか
を商品の説明で確認します。
強く何度もこすると、反対に毛羽立ちを増やすことがあります。
最初は目立たない部分で試し、短い範囲から使用しましょう。
ブラシを使うタイミング
- 着用後に表面のほこりを落とす
- 毛並みを軽く整える
- 収納前に表面の状態を確認する
- 毛玉が固まる前の軽い毛羽立ちを確認する
使用後は、ブラシに付着した繊維やほこりも取り除きます。
BEFORE・AFTERで取りすぎていないか確認する
毛玉を取ったあとは、きれいになったかだけでなく、生地が薄くなっていないかも確認します。
見る角度や光の方向を変えながら、
- 毛羽立ちが広がっていないか
- 編み目が乱れていないか
- 色が部分的に違って見えないか
- 生地が薄くなっていないか
- 糸が飛び出していないか
を確認します。
毛玉が少し残っていても、生地への負担が気になる場合は、そこで作業を止めましょう。
新品のような表面へ戻そうとして、取りすぎないことも大切です。
毛玉取りは、生地を削らずに完全に元へ戻す作業ではありません。
ニットの状態を整えるための、必要な範囲のお手入れとして考えます。

素材によって毛玉の見え方と注意点は変わる
ニットは素材や編み方によって、表面の風合いが異なります。
同じ道具や同じ力でお手入れできるとは限りません。
| 素材 | 特徴と確認したいこと |
|---|---|
| ウール | 毛羽立ちや縮みに注意し、強い摩擦を避ける |
| カシミヤ | 繊細な素材のため、無理に自宅で処理しない |
| アクリル | 摩擦で毛玉が目立つことがある |
| ポリエステル混 | 絡まった毛玉が残りやすい場合がある |
| コットン | 毛羽立ちや表面の擦れを確認する |
| 混紡素材 | 組み合わされた素材と割合によって扱い方が変わる |
素材名だけで安全な方法を決めることはできません。
生地の厚さ、編み方、起毛加工、装飾の有無などによっても、適したお手入れは変わります。
洗濯表示や商品説明を確認し、判断が難しい場合は購入店やクリーニング店へ相談しましょう。
同じウールニットやアクリルニットでも、糸の太さ、編み方、繊維の組み合わせ、着用時の摩擦によって毛玉の出方は異なります。
「この素材なら毛玉ができない」と判断せず、実際の着用環境や生地の状態も確認することが大切です。
毛玉を増やしにくくする着方
毛玉を完全に防ぐことは難しくても、着用時の摩擦を減らす方法はあります。
同じニットを連日着続けない
一度着たニットを休ませることで、着用中に受ける摩擦を連続させにくくなります。
着用後は湿気を逃がし、表面のほこりを軽く落としてから収納します。
バッグが当たる場所を確認する
ショルダーバッグやリュックは、肩、脇、腰、背中に摩擦を起こしやすい小物です。
いつも同じ側にバッグを掛けると、一部分だけ毛羽立ちやすくなることがあります。
ニットを着る日は、表面が粗いバッグを避ける方法もあります。
アウターの内側を確認する
ニットの上から着るアウターの裏地や縫い目が、ニット表面と強くこすれることがあります。
アウターが窮屈だと摩擦が強くなりやすいため、肩や腕を動かしたときの余裕も確認します。
デスクに袖をこすり続けない
デスクワークでは、袖口や前腕部分が机と接触しやすくなります。
袖を軽く上げるなど、同じ部分が長時間こすれ続けないように調整してみましょう。

洗濯による摩擦を減らすポイント
毛玉は着用中だけでなく、洗濯時の摩擦によって増えることもあります。
家庭で洗えるニットの場合は、洗濯表示を確認したうえで次の点を意識します。
- ニットを裏返す
- 形を整えて洗濯ネットへ入れる
- 一つのネットに衣類を詰め込みすぎない
- 衣類に合った洗剤を使用する
- 洗濯表示に合ったコースを選ぶ
- 強くこすったり、ねじったりしない
- ファスナーや装飾のある衣類と接触させない
ネットへ入れれば、どのニットでも洗濯機で洗えるわけではありません。
家庭洗濯ができるかどうかは、必ずニットに付いている洗濯表示で確認します。
洗濯機のコースや洗剤についても、それぞれの取扱説明書を確認してください。
ニットの洗い方や干し方については、こちらの記事も参考にしてみてください。

収納するときも摩擦と重さに注意する
ニットを収納するときは、完全に乾いていることを確認し、形を整えてたたみます。
衣類を強く詰め込むと、出し入れのたびにニット同士がこすれます。
また、重い衣類を上へ何枚も重ねると、ニットがつぶれて形が崩れる場合があります。
収納時に確認したいこと
- 汚れやにおいが残っていないか
- 完全に乾いているか
- 表面に毛玉や糸の飛び出しがないか
- 引き出しへ詰め込みすぎていないか
- 上に重い衣類を重ねていないか
- 湿気がたまりやすくないか
シーズン終わりには、毛玉だけでなく、袖口や襟元の汚れも確認します。
汚れが残ったまま長期間収納しないよう、洗濯表示に合った方法でお手入れしましょう。

毛玉取りの方法を比較
| 状態 | 選択肢 | お手入れのポイント |
|---|---|---|
| 細かな毛玉が広い範囲にある | 毛玉取り器 | 軽く動かし、同じ場所へ繰り返し当てない |
| 大きな毛玉が数個ある | 小さなハサミ | 編み糸と見分け、生地を一緒に切らない |
| ほこりや軽い毛羽立ちがある | 衣類用ブラシ | ニット対応の商品を使い、強くこすらない |
| 生地が薄くなっている | 使用を中止 | 自宅で無理に処理しない |
| 高価・繊細・装飾がある | 専門店へ相談 | 適切な処理方法を確認する |
毛玉の数だけで道具を決めず、ニットの素材、生地の厚さ、傷みの状態を先に確認します。
迷った場合は、お手入れの範囲を広げず、専門店へ相談する方法も選択肢です。

ニットの毛玉に関するよくある疑問
毛玉は手で取ってもいいですか?
手で強く引っ張ると、毛玉につながった繊維まで引き出す可能性があります。
爪でむしったり、無理に引き抜いたりせず、衣類に対応した道具を使って少しずつ整えましょう。
毛玉取り器は毎回使っても大丈夫ですか?
毛玉取り器は、使用するたびに生地表面へ接触します。
頻繁に使用したり、同じ場所へ繰り返し当てたりすると、生地が薄くなる可能性があります。
毛玉が気になる部分だけに使用し、使用前後に生地の状態を確認してください。
毛玉取り器を強く押したほうがきれいになりますか?
強く押し付けると、毛玉だけでなく生地表面の繊維まで削る可能性があります。
軽い力で少しずつ動かし、使用する製品の説明に従いましょう。
ハサミと毛玉取り器はどちらがいいですか?
広い範囲に細かな毛玉がある場合は毛玉取り器、数個の大きな毛玉がある場合は小さなハサミが選択肢になります。
ただし、素材や生地の状態によって適した方法は異なります。
どちらを使用する場合も、目立たない部分で試してください。
カシミヤにも毛玉取り器を使えますか?
カシミヤなどの繊細な素材は、毛玉取り器によって生地へ負担がかかる可能性があります。
衣類と道具の説明を確認し、判断が難しい場合は購入店やクリーニング店へ相談するのが安心です。
毛玉を取れば元の状態に戻りますか?
毛玉を取ることで表面を整えることはできますが、着用前とまったく同じ状態へ戻るとは限りません。
毛玉取りを繰り返すほど表面の繊維は減っていくため、必要な範囲だけ整えることが大切です。
毛玉ができたニットは買い替えたほうがいいですか?
毛玉の量だけでなく、生地の薄さ、編み目の乱れ、袖口や襟の伸び、穴や糸切れも確認します。
毛玉を取っても生地の傷みが目立つ場合や、着用中に形が崩れる場合は、修理や買い替えを検討してもよいでしょう。
まとめ|毛玉は引っ張らず、状態を確認しながら整える
ニットの毛玉は、着用や洗濯による摩擦で発生します。
毛玉を見つけたら手で引っ張らず、最初に素材表示、生地の厚さ、編み目、傷みの状態を確認します。
毛玉取り器を使う場合は、ニットを平らに置き、軽い力で少しずつ動かします。
ハサミを使う場合は、毛玉と編み糸を見分け、生地を一緒に切らないように注意します。
また、
- 同じニットを連日着続けない
- バッグやアウターとの摩擦を減らす
- 洗濯表示に合った方法で洗う
- 着用後は湿気を逃がす
- 形を整えてたたむ
- 収納場所へ衣類を詰め込みすぎない
といった日頃のお手入れも大切です。
一度に完璧な表面へ戻そうとせず、生地への負担を確認しながら、必要な部分だけを整えてみてください。


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